$a_1=-1$,$a_3=1$ とする.
$\gamma=0$ のとき,$x=\pm 1$ または $(x_1,x_2)=(\pm 1,0)$ は定数解となる.
$\delta,\gamma=0.1$,$\omega=1$ に固定する.
- "duf4.py"を使用
初期値 $(x_1,x_2)=(1,0)$ に対する軌道
$a_1=1$ の場合と同様に,
$t\to\infty$ のとき $x(t)$ は振幅が一定の,外力と同じ周期の周期軌道に漸近する.
- "duf5.py"を使用
初期値 $(x_1,x_2)=(0.1,0.25)$ に対する軌道
上の場合と異なり,$t\to\infty$ のとき $x(t)$ は外力の2倍の周期の周期軌道に漸近する.
異なる2つの安定な周期軌道が存在する.
これらの安定周期軌道を $(x_1,x_2)$ 平面上にプロットする.
方程式の対称性から $x_2$ 軸に対称な安定周期軌道も存在する.
$\gamma=0.2$,$\omega=1.1$ とする.
- "duf8.py"を使用
初期条件 $(x_1,x_2)=(1,0)$ に対する軌道
$t\to\infty$ のとき軌道は周期軌道に収束せず,カオス的である.
外力の1周期毎に点 $(x_1(t),x_2(t))$,$t=0\mod T=2\pi/\omega$,をプロットする.
この操作により得られる点列は,
\[
(x_1(0),x_2(0))\mapsto(x_1(T),x_2(T))
\]
によって定められる写像の軌道とみなすこともできる.
この写像はポアンカレ写像と呼ばれる.
- "duf9.py"を使用
初期条件 $(x_1,x_2)=(1,0)$ に対する軌道
これはストレンジ・アトラクタの例であり,
エノン写像の場合と同様にフラクタルな構造が見られる.
なお,ここで最初の100点はプロットされていない.
外力の振幅を $\gamma=0.3$ に増加する.
- "duf10.py"を使用
大振幅の周期軌道
外力と同じ周期の,大振幅の安定周期軌道も存在する.
このように解の挙動はバラエティに富んでいる.
次に,$\gamma=0.1$ として,$\omega$ を0.8から1.4まで増加,また,1.4から0.8まで減少させたときの定常状態における
$x_1(t)$,$t=0\mod T$,の値をプロットして得られる分岐ダイアグラムを計算する.
- "dufb4.py"を使用 (計算時間は少々かかる)
$\gamma=0.1$ に対する分岐ダイアグラム
$\omega$ が減少するとき,$\omega=1.02$ と $0.98$ 付近で周期倍加分岐が起きているが,
ロジスティック写像やエノン写像の場合と異なり,カオスには至っていない.
また,$\omega$ が増加するとき,$\omega=1.2$ 付近でも分岐が起きている.
外力の振幅が $\gamma=0.2$ に増加すると,
$\omega$ を変化させたときの挙動の変化はより複雑なものとなる.
- "dufb5.py"を使用 (計算時間は少々かかる)
$\gamma=0.2$ に対する分岐ダイアグラム
$\omega$ が減少するとき,$\omega=1.24$ と $1.21$ 付近で周期倍加分岐が起こり,
広い範囲でカオスが生じていることがわかる.
また,$\omega$ が増加するとき,$\omega=1.06$ 付近でも分岐が起きている.
プログラム dufb4.py〜dufb5.pyの"d=0.1"や"g=0.1"の行を変更して,異なる $\delta$ や $\gamma$ の値に対してこれらの結果が
どのように変化するか調べてみよう.
最後に,$a_1=0$,$a_3=1$,$\delta=0.1$,$\gamma=12$,$\omega=1$ の場合に対して
数値シミュレーションを行う.
- "duf12.py"を使用
ポアンカレ写像の軌道
上の2つの計算結果からカオス挙動が起きていることが確認できる.
この結果は,電気工学者の上田睆亮により1978年に出版された論文で最初に報告され,
後に,数理物理学者のリュエルにより「ジャパニーズ・アトラクタ」と命名された.
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Latest Updating is on March 1, 2024.