スタンダード写像に代表されるシンプレクティック写像は近可積分ハミルトン系のモデルとして, 盛んに研究されてきた. 本発表では, tan関数を用いたシンプレクティックな写像を提案し, あるパラメータの範囲で一様分布を不変密度関数として持ち, 混合的である事を示す.
電圧源なしの電気回路系を表現する力学系は接触多様体上で定式化され得ることを示す。また、この幾何学的定式化により、情報幾何学と平衡熱力学と電気回路系が統一的に扱える可能性を指摘する。また、戸田格子等の力学系は電気回路で記述され得るが、そういった格子力学系についての接触幾何学的定式化も示す。
金属などの固体材料の塑性変形は一般に滑らかな応答を与えると考えられてきたが、近年この塑性現象に固着滑りのような間欠的な挙動が普遍的に内在し、さらにその滑りの規模が臨界現象や地震現象などに特有のベキ乗則に従うことが、実験・理論両面から指摘されるようになってきた。この間欠的な塑性変形現象を分子動力学シミュレーションによって再現し、その特徴や結晶粒界などの構造がおよぼす影響について述べる。
T. Niiyama and T. Shimokawa. Phys. Rev. E, 91, 022401, (2015).
T. Niiyama and T. Shimokawa. Phys. Rev. B, 94, 140102(R), (2016).
非線形格子系において励起される離散ブリーザー/非線形局在モードは摂動によって移動をすることが知られている.しかしその移動性は格子系の離散性の影響により速度のゆらぎや格子点へのトラップなどが起こる.このような離散性の影響を取り除くことによって,離散ブリーザーがスムーズに移動することのできる格子系(pairwise interaction symmetric lattice (PISL))が構成可能なことを示し,PISLでの離散ブリーザーのダイナミクスを議論する.
Y. Doi and K. Yoshimura, Phys. Rev. Lett.,117, 014101 (2016).
熱平衡状態とは、大自由度系を長時間放置すると到達する状態であるため、通常は熱平衡状態にある系はそれ以上マクロな時間発展をしない。しかし本発表では、熱平衡状態を初期状態としても、長距離相互作用系の有限サイズゆらぎの大きさがあるレベルから別のレベルへと緩和することを数値的に示す。この現象を説明するためのシナリオを運動論を基に提案し、シナリオを支持する数値実験結果を示す。時間があれば、有限サイズスケーリングと臨界指数についても議論する。
Y. Y. Yamaguchi, Phys. Rev. E 94, 012133 (2016).