第103回:8月29日(火)17:00から
京大総合研究10号館303号室
山口義幸氏(京都大学)
『二次相転移の臨界点で非発散・非正値な感受率』
感受率とは、系に微小外力を加えた時のオーダーパラメータの応答が外力に対して
線形であるとき、その比例係数のことである。
外力印加の前後が熱平衡状態であれば感受率は統計力学によって計算でき、
二次相転移の臨界点では感受率は発散し、発散の度合いを示す臨界指数が定義される。
しかしハミルトン系を正準運動方程式に従う力学系と捉えた時、
長距離相互作用する系では統計力学の結果より小さな臨界指数が観測されることがある[1]。
本発表では[1]で考察されていた系を拡張し、感受率が行列となる系を考える。
従来の系では臨界指数は小さくなるものの臨界点での発散は起こっていた。
しかし拡張された系では統計力学で予測される発散がなくなる場合があること、
また臨界点に近づくと感受率が負となる場合があることを示す。

[1] S. Ogawa, A. Patelli and Y. Y. Yamaguchi,
Non-mean-field critical exponent in a mean-field model: Dynamics versus statistical mechanics,
Phys. Rev. E 89, 032131 (2014).

[2] Y. Y. Yamaguchi and D. Sawai,
Nondivergent and negative susceptibilities around critical points of a long-range Hamiltonian system with two order parameters,
Phys. Rev. E 95, 052148 (2017).


Last modified: Fri Aug 18 12:55:45 JST 2017