第98回:8月20日(土)15:00から
京大総合研究10号館303号室
岩崎淳氏(京都大学)
『2冪剰余環上一筆書き多項式のストリーム暗号・擬似乱数生成器への応用』
2冪剰余環上で全単射を与える整数係数多項式を置換多項式 [1] と呼ぶ。
デジタルコンピュータにとって、2冪を法とする剰余演算は実質的に無視できるため、
置換多項式は多項式値を高速に計算することができる。
全単射性や高速性は、共通鍵暗号の一種であるストリーム暗号や
擬似乱数生成器への応用において有用な性質である。
一般に、それらへの応用においては用いられる写像の周期は長い必要がある。
本発表では、置換多項式のうち軌道周期が最大となる
(一本の軌道が2冪剰余環をくまなく巡る)多項式である
「一筆書き多項式」[2] を取り扱う。
まず基礎として、多項式が一筆書き多項式たるための係数の必要十分条件や
一筆書き多項式の種々の計算アルゴリズムについて議論する。
次に、一筆書き多項式多項式の周期性を保ったまま複数の多項式を
組み合わせる方法を提案する。
一筆書き多項式を単純に擬似乱数生成器に用いても乱数性は良くないが、
提案手法により乱数性を向上させられることを実験的に示す。
最後に、一筆書き多項式を組み合わせることで周期をさらに延ばす方法を提案する。
[1] R. L. Rivest,
``Permutation polynomials modulo $2^w$”,
Finite Fields and their Applications, vol. 7, pp. 287-292, 2001.
[2] A. Iwasaki, K. Umeno,
``One-stroke polynomials over a ring of modulo $2^w$",
arXiv:1605.03449, 2016.
Last modified: Fri Aug 12 12:15:39 JST 2016