本研究では，電磁石によって駆動される磁石球を用いて，その直下に配された
別の磁石球を浮上させることを考える．まず，電磁石を用いて 1 個の磁石球
を非接触支持する系 ( 1 自由度系) について，磁荷モデルを用い，力学的な
モデルを導出した．そのモデルについて，実験と数値計算を比較し，その妥当
性を検証した．また，制御系を設計し，実際に適用することで，実験的に磁石
球を浮上させることに成功した．

続いて，検証された磁気支持系の力学モデルを用いて，2 個の磁石球を非接触
支持するための系 ( 2 自由度系 ) を構築した．1 自由度系と同様に制御系設
計やダイナミクスの解析を行い，数値計算の上で 2 個の磁石球を浮上させる
ことが可能であることを確かめた．実験系では，センサの配置や支持対象の形
状による誤差の影響などを詳細に検討することで，設計を見直し，最終的に 2 
個の磁石球を非接触支持することに成功した．