大自由度ハミルトン系は巨視的平衡状態や準平衡状態、またそこ への緩和を統計力学として議論するための微視的モデルである。 また、大自由度ハミルトン系と数理的によく似た二次元流体にも 統計力学は適用され、二次元乱流における巨視的定常パターンが 「平衡」状態として記述されることが知られている。 これに対し、本研究では、こういった大自由度保存系において 見られた非定常状態について紹介する。すなわち、 ある大自由度ハミルトン系や二次元流体系において、 ある基準となる平衡(定常)状態に対して変位を与えたときに、 その変位が大きくなるとその基準となる状態には緩和せず、 非定常状態が実現し、しかもそれが安定して続くようになる。 これは保存力学系における巨視的「分岐」であるともいえる。