第45回:10月27日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
新山友暁(立命館大学・理工)
『全並進・全角運動量保存がエネルギー等分配に及ぼす影響
(Micro canonical にあるクラスター上の非一様な温度分布)』
マイクロクラスターのような少数粒子系に対して
全並進・全角運動量が力学的保存量となっているような
孤立保存系分子動力学シミュレーションを行うとき、
各粒子に分配される運動エネルギーが非一様になることを発見した。
この現象について、数値計算および解析的な側面から説明する。
統計力学が充分に機能するためには、系が ergodic であることに加え、
そのサイズが充分に大きい事が要求される。
しかしながら、Salian によれば、わずか4個の粒子で構成される
系においても、Maxwell-Boltzmann 分布が構成される、
すなわち統計力学に従うふるまいが認められるという結果が報告されている。
一方で、系に力学的保存量が存在する場合、実質的にエネルギーが
分配される自由度はその分だけ少なくなる。この影響は、系が充分に大きい
場合は無視できるが、上述のような少数粒子系ではその影響は相対的に
大きくなる事が予想される。
系のもっとも基本的な熱力学量である温度に注目する事で、
このような統計力学的に中途半端な系に対して
全並進・全角運動量の保存がどのように影響するかについて調べた。
Last modified: Fri Oct 19 11:09:00 2007