第34回:9月2日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
柳尾朋洋(福井センター)
『分子の集団運動を支配する慣性半径の動力学』
概要:
 化学反応や生体高分子の集団運動を統一的に記述可能な
反応座標と反応速度論を構築することは、現代の分子科学
における最重要課題の一つである。この課題達成のためには、
多自由度分子一般の大振幅運動を実質的に支配する少数の
「集団変数」を見出し、その運動原理を探ることが大切である。
本発表では、普遍性の高い集団変数として、分子がもつ3つの
慣性半径に着目し、これら慣性半径の低次元動力学を通して、
分子の集団運動の仕組みを効率的に理解する方法論について
報告する。特に、分子の内部空間(形空間)の計量構造に
由来する動的な「力」と、ポテンシャル曲面の地形に由来
する通常の力との競合過程によって分子の集団運動が誘導され
る仕組みに焦点をあてる。

以上は、カリフォルニア工科大のJ. E. Marsden教授、W. S. Koon講師、
およびプリンストン大の I. G. Kevrekidis教授との共同研究である。

Last modified: Tue Aug 29 12:25:42 JST 2006