第24回:7月16日(土)15時から
京大工学部8号館3F南演習室
田中ダン(京都大学)
『ノイズが秩序を生む&減衰モードが構造を壊す』
概要:
非線形ダイナミクスならではの、一見逆説的な現象を二つ紹介する。
(なお時間的制約から、いくらか割愛する部分もある。
皆様のご志向に適宜合わせて講演したい。)
1
結合もなく強制外力も受けない振動子群が、
振動子群に共通の加法ノイズにより同期する事を示す。
単一ニューロンの reliability との関連でも注目されている現象に、
非常に標準的でシンプルな解析によりアプローチするものである。
具体的には、白色ガウスノイズを受ける limit cycle 振動子を位相縮約し、
Liapunov指数を解析的に求め、これが負になることを示す。
2
単一では減衰して消えて行く長波長モードが、
Turing の自発的な空間構造形成を妨げることを示す。
このような現象は地震波のモデル(Nikolaevskii方程式)や、
液晶対流系での実験でも議論されている。
具体的には、あるクラスの振動性反応拡散系から、
Turing、Benjamin-Feir 両不安定性の余次元二点近傍で
Nikolaevskii方程式と等価な式を導出する。
この式は超臨界的に時空カオス状態を呈すが、
その統計性質や、臨界点近傍を記述する特異な小振幅方程式も紹介する。
Last modified: Fri Jun 24 17:27:55 2005