第21回:4月16日(土)15時から
京大工学部8号館3F南演習室
山岡英孝(京都大学)
『少数多体系の層化簡約化(古典系)』
多体力学系の回転対称性による簡約化を扱う.
回転群SO(3)は,多体重心系へ自然に作用する.
SO(3)-作用の軌道型に従って,多体重心系は3つの層へ層化される.
主層は等方部分群が自明な非特異配位から成る.
残りの2つの層は直線状配位からなる層と全衝突配位のみからなる層であり,
各々の等方部分群はそれぞれSO(2)やSO(3)に同型である.
後者の2つの層に含まれる配位を特異配位と呼ぶ.
古典系,量子系とも,力学は各々の層ごとに定式化され,
SO(3)の対称性により各層ごとに簡約化される[1,2].
本発表では,まず古典系の層化簡約化を,
非特異配位の場合を例にして簡単に振り返る.
さらに,得られた簡約化運動方程式から,
配位が直線状になる際に導かれる拘束条件を3体系において考察する.
また,力学の定式化は各層ごとに行わなければならないが,
運動としては層を行き交う(直線状であった系が折れ曲がるような)ものを
対象とすることも興味深い.
そこで,層を行き交う運動として3体系の微小振動運動を扱う.
この際,Moserの平均化法を適用すると周期解の存在が保証され,
ホロノミーが実現される[3].
[1] T. Iwai and H. Yamaoka,
“Stratified reduction of many-body kinetic energy operators,”
J. Math. Phys., 44 (2003), 4411-4435.
[2] T. Iwai and H. Yamaoka,
“Stratified reduction of classical many-body systems with symmetry,”
J. Phys. A 38 (2005), 2415-2439.
[3] T. Iwai and H. Yamaoka,
“Stratified dynamical systems
and their boundary behavior for three bodies in space,
with insight into small vibrations,”
to appear in J. Phys. A.
Last modified: Mon Apr 11 16:04:47 2005