第20回:3月19日(土)15時から
京大工学部8号館3F南演習室
清水寧(立命館大理工)
『動的物質としてのマイクロクラスター』
我々は2種の金属原子からなるマイクロクラスターにおける急速合金化のダイ
ナミクスを、簡単化したモデルを用いて、定性的に再現できることを示した
[1][2,3]。またクラスター内の原子の長時間にわたる運動を、クラスターの表
面に沿う方向と動径方向に沿う方向に分割して捉え、通常のアレニウス型の拡
散であると仮定することによって原子拡散の活性化エネルギーを通じて特徴づ
ける試みを行った[4]。この活性化エネルギーは、「配位空間における原子の
どのような運動が合金化というクラスターの内部と外部の間のmass transport
にとって、重要な素過程であるか?」という問題の答えを与える鍵となるとい
う立場にたって、反応経路を数値的に枚挙した。今回の発表では、そこからう
かがわれるクラスター内原子の特徴的運動(Floater Hopping(FH), Edge
Running(ER),Inter-layer Mixing(IM)) について紹介し、それらの運動が合
金化においていかなる役割を果たすか、を議論する。さらにこうした解析の向
こうに見える、バルクと分子の中間的存在としてのマイクロクラスター特有の
動的性質についても言及したい[5]。
[1]H.Yasuda,H.Mori et al.,J.Electron.Microsc.41(1992)267
[2]Y.Shimizu, K.S.Ikeda and S.Sawada, Eur.Phys.J.D4(1998)365
[3]Y.Shimizu,K.S.Ikeda and S.Sawada, Phys.Rev.B64,75412(2002);
S.Sawada,Y.Shimizu, and K.S.Ikeda Phys.Rev.B67,024204(2003)
[4]T.Kobayashi, Y.Shiimizu,K.S.Ikeda and
S.Sawada,Phys.Rev.B66,25412(2002)
[5] Y.Shimizu, T.Kobayashi,K.S.Ikeda and S.Sawada, Adv.Chem.Phys.130
Part B(Chap14)
Last modified: Fri Mar 18 11:50:24 2005