微小摂動が指数関数的に増大するカオス系では、初期値問題を正確に 解くには非常な困難が伴う。 しかし、この系が擬軌道追跡性を持つ場合、通常の(浮動小数点による) 数値実験結果に大域的な近似計算という意味を与えることができる。 本講演では、先行研究を概観し、擬軌道追跡性の数値解析で、 有限時間リャプノフ指数・ベクトルの高精度解法を応用する方法を示す。 更に、ロジスティック写像の擬軌道追跡性を数値的に評価し、 その計算結果が簡単な現象論的モデルで良く再現できることを述べる。