非対称鎖状三体バネ玉系におけるバネ振動に誘導された形状
  
平面上にある三つの質点を二つのバネで鎖状に結合した鎖状三体バネ玉におけ
る形状について考える。この系の形状は、二つのバネが成す角として定義され
る。形状の安定性はポテンシャルエネルギーだけから決まるわけではなく、バ
ネ振動によっても変化することが先行研究により示されている。例えば直線形
状においては、二本のバネが同時に伸縮するモードを励起すると安定化に寄与
し、交互に伸縮するモードを励起すると不安定化に寄与する。興味深いことに、
折畳形状においてはこれらの安定性が反対となり、同時伸縮モードが不安定化
に、交代伸縮モードが安定化に寄与する。モードの固有振動数は形状によって
変化するが、固有振動数が低いモードは安定化に寄与し、高いモードは不安定
化に寄与するとまとめられる。先行研究では両端二質点の質量が同一である対
称的な場合を扱っていたが、本研究ではこの対称性を破った場合にも同様の安
定性が得られることを報告する。また対称的な場合には二つの固有振動数が縮
退する形状が存在するが、非対称な場合には一般には縮退は起こらない。本研
究では、縮退の有無によって異なる形状ダイナミクスを数値実験により見出し
た。さらには、対称な系から非対称性を連続的に変化させた場合についても議
論する。