Colloquium

無限次数の繰り込み群方程式について

千葉逸人

5月11日(金) 13時30分

繰り込み群の方法は、微分方程式に対する特異摂動法の一種であり、繰り込み群方程式と呼ばれる補助的な微分方程式を介して近似解を構成する。繰り込み群方程式の次数を上げれば近似の精度が上がることが知られているが、一般には無限次数の繰り込み群方程式は形式的べき級数であってその収束半径は零である。
この発表では無限次数の繰り込み群方程式が収束するための必要十分条件を与える。また無限次数繰り込み群方程式(*)が収束しない場合にも、その発散の速度がおとなしければ、Borel総和法により(*)を形式的Taylor展開として持つような C^\infty 関数を構成すること により、元の方程式が可積分でないにもかかわらず解が書き下せることを示す。