コロキウム

円に十分近いビリヤードとその不変曲線について

立石萌輝 氏

2025年6月19日(木) 15時15分

総合研究10号館317号室

ビリヤード系では, 2次元領域内を直進し境界で入射角と反射角が等しくなるよう向きを変えるボールの運動について取り扱う. ボールと領域の境界が衝突する点とその向きを, その次の衝突点と向きへ写す写像はビリヤード写像と呼ばれ, 面積保存写像になることが知られている. 特にビリヤード台が円であるとき, ビリヤード系は面積保存ツイスト写像の意味で可積分になり,相空間上に葉層構造を定める不変曲線の族が存在する. そのため, 円にC^r 級 (r > 3) のノルムで十分小さな摂動を与えたような台についても, KAM定理から多くの不変曲線が生き残ることが期待されるが, 一方で円への摂動がC^r 級 (r < 3) のノルムで小さい場合についての不変曲線の存在性は定かではない.本発表では, C^2級のノルムで小さい摂動を円に与えたビリヤード系で境界の十分近くに不変曲線が存在しないようなものを紹介したのち, 今後の研究方針を述べる.