黒川大雅 氏
2025年5月22日(木) 15時15分
総合研究10号館317号室
N体問題において, 中心配置という特殊な配置については, それを合同に保つ周期解が存在することが知られている. この周期解において, 各質点は原点を中心に一様に円運動を行うため, 平面円制限3体問題(PCR3BP)と同様にして, N体の各中心配置に対して, PCR(N+1)BPを考えることができる. 一般に, N体の中心配置を求めることは困難であり, 「任意のN体の質量に対して, その中心配置は(相似を除いて)有限個であるか」という問題は有名な未解決問題である. 一方で, 直線配置については, 「任意のN体の質量と順列に対して, その順に並んで直線をなす中心配置が(相似を除いて)ただ一つ存在する」(Moulton,1910)ことが知られている. 直線配置に関するPCR(N+1)BPの周期解については, N=2の場合に, 変分法によってその直線について対称な周期解の存在証明が行われている(Kajihara&Shibayama,2022,[1]). 一方, N≧3の場合には, 例えば特殊な3体の質量について接続法を用いた結果(Palacious et al.,2019)やLyapunovの中心定理を用いた結果(Lilbre et al.,2021)はあるが, これまでに統一的な研究や変分法による研究は行われていない. そこで, 講演者は, [1]の方法を用いて, 一般のN体の直線配置について, その直線について対称な周期解の存在を証明する(十分条件を与える)ことを試みている. 証明は, 最小化曲線が(1)存在すること, (2)自明解(平衡点)ではないこと, (3)区間内部で衝突しないこと, (4)区間境界で衝突しないことの大きく分けて4つのステップからなるが, 現時点では(1)・(2)・(3)が解決でき, (4)については検討中である. 本発表では, 以上の研究成果を報告し, 今後の研究方針について述べる.[1] Y. Kajihara and M. Shibayama, Variational existence proof for multiple periodic orbits in the planar circular restricted three-body problem, Nonlinearity 35 (2022) 1431–1446.