矢ヶ崎一幸 氏
2024年10月24日(木) 13時30分
総合研究10号館317号室
蔵本モデル (以下ではKMと略) は1970年代に蔵本由紀氏により提案された,化学や生物および物理現象等に現れる非線形振動子集団の同期現象を記述する大次元微分方程式系であり,これまでに膨大な理論的あるいは数値的な研究が行われている.本講演では,確定稠密,確率稠密あるいは確率スパースグラフ上で定義された蔵本モデル (以下では KMと略) KMとその連続極限 (以下では CLと略) のダイナミクスについて,講演者の最近の研究成果を解説する.講演では元学生の伊原氏との共著論文 (昨年出版) の結果をまず紹介した後,KMにおける以下の解の存在,安定性および分岐を議論する: (i) 確定的な自然振動数を有する古典KMの同期解; (ii) 2つのグラフ上で定義され,2つのモードの相互作用を有する場合の同期解; (iii) 最近傍グラフの場合のねじれ (twisted) 解; (iv) (iii) においてフィードバック制御を受ける場合のねじれ解.
(ii)では一様グラフと最近傍グラフの組を対象とし,(ii)と(iii)では確定稠密,確率稠密および確率スパースグラフ,(iv)では確定稠密グラフを取り扱う.解析の道具は主として力学系理論からの手法であり,(i)ではKMを直接的に解析して, KMとCLで起こる分岐現象が大きく異なることを明らかにする.(ii)から(iv)ではCLの分岐現象を解析し.KMの数値シミュレーションで同様の分岐現象が起こることを確認する.