コロキウム

外力応答による結合リミットサイクル振動子系の推定

チェ・ムンソク 氏

2023年11月30日(木) 13時30分

総合研究10号館317号室

一つの素子を表す力学系がリミットサイクルを持つ場合、それらが結合した系は位相縮約により結合位相振動子系に縮約される。先行研究では結合位相振動子系において、任意の外力が印加できかつ任意の複素オーダーパラメータの外力応答が観測可能であるならば、系を推定できることが示されている[1]。しかしながら、位相縮約前の力学系を推定する方法については未解明であった。位相縮約前の系では実変数しか観測できず、また印加できる外力は制約を受けるという困難があるためである。本研究では、リミットサイクルを持つ具体的な力学系としてStuart-Landau 系や van der Pol 系を取り上げ、Hilbert変換を用いて実変数の観測から複素応答係数を復元する手法を提案する。提案手法の有効性は、数値シミュレーションや実験データによって検証する。本研究は現実的な力学系の特性解明に寄与することが期待される。

[1] Y. Y. Yamaguchi and Y. Terada, Reconstruction of Phase Dynamics from Macroscopic Observations Based on Linear and Nonlinear Response Theories, arXiv:2301.02173.