コロキウム

平面円制限3体問題のL1近傍の遷移軌道と孤立不変集合について

黒川大雅 氏

2023年7月20日(木) 15時00分

総合研究10号館317号室

本講演では, 平面円制限3体問題のL1近傍の遷移軌道と孤立不変集合について, 新しく得られた研究成果を報告する. まず, 遷移軌道の存在については, 修士論文において, Moeckel(2005)の先行研究と異なるアプローチで十分条件を与えたが, 新たに得られた十分条件の複雑さのため, 先行研究との比較については解決できていなかった. 本講演の前半では, これらの十分条件を数値計算により比較した結果について報告する. 次に, 孤立不変集合については, Moeckel(2005)も言及しているように, 遷移軌道が存在すれば, Easton(1970)の結果により, 孤立不変集合の1次のコホモロジーが自明でないことが保証される. 本講演の後半では, 遷移軌道の存在を仮定することなく, L1近傍の孤立化ブロックの幾何構造だけから, 孤立不変集合の存在が保証できることを証明する.