コロキウム

車間距離の平均場を含んだ交通渋滞モデルの分岐解析

チェ・ムンソク 氏

2023年1月12日(木) 13時30分

総合研究10号館317号室 / Zoom会議 (ハイブリッド)

周期性を持つ一車線環状道路における交通渋滞問題を考える。先行研究[1]では、運転者が視認できる一つ前の車との相対位置のみを考慮していた。しかしながら、通信技術の発展により大域的制御が可能となって来ており、交通渋滞問題を解決するのに有用な可能性がある。そこで本研究では、先行研究のモデルに車間距離の平均場を組み入れたモデルを考える。われわれのモデルでは、先行研究のモデルと同様に、車が等間隔・等速で走る状態は定常状態となり、その安定性は運転者の反応度を表すパラメータによって変化する。理論的な安定性解析と数値シミュレーションによる分岐解析の結果、等間隔・等速状態が安定となるパラメータ領域は平均場を導入することで拡張されること、平均場の有無に関わらずヒステリシスが起こり分岐は不連続となることを見出したのでこれを報告する。

[1] Dynamical model of traffic congestion and numerical simulation, M. Bando, K. Hasebe, A. Nakayama, A. Shibata, and Y. Sugiyama, Physical Review E 51(2), 1035 (1995). DOI: 10.1103/PhysRevE.51.1035