第104回:4月20日(火)17:30から
京大総合研究10号館303号室
小松尚登氏(物質・材料研究機構)
『平均場的アプローチによる固体流体転移の理論的解析』

固体流体転移、液体や気体と固体との間の相転移は古くから知られている現象
であるが、相互作用をする粒子系という取り扱いの難しい系で起こる現象であ
るため、理論的に理解することは難しい。本研究は、厳密に解け、かつ模型固
体流体転移を示す模型の構成を通じて、この現象に関する理解を深めることを
目標としたものである。

本発表では、まず実際に構成できた模型の紹介をする[1][2]。これは磁性体な
どにおける全結合模型を参考としたものであり、導入するポテンシャルの形に
よって固体相が取る結晶構造が変わる。この模型の注意すべき性質として、固
体相においても理想気体の状態方程式を満たすというものが挙げられる。

このように、一見奇妙な性質を持つ模型が実際の固体流体転移と関係付けられ
るものなのか否かを確認する目的で、一般の模型の相転移をこの模型に帰着さ
せる近似によって記述する方法も考案し、例として3次元Lennard-Jones模型の
固体、液体、気体間の相転移の記述も行う。

[1] H.Komatsu, 2015 J.Stat.Mech, P08020
[2] H.Komatsu, 2017 J.Stat.Mech, 123202

Last modified: Fri Apr 13 11:21:33 JST 2018