エネルギー移動に関して、古典統計力学の基礎的法則の一つにエネルギー等分配則がある。 この法則が非線形系で成り立っているか、世界で初めてシミュレーションで調べたのが、 Fermi・ Pasta・Uramの三人である。 Fermiらは、非線形振動子のモデル(FPUモデル)を用い、 あるモードに与えた振動エネルギーが、どのように移り変わるかを計算した。 その結果、意外なことにエネルギー等分配則の破れが起こることが見いだされた。 我々は、このよく知られた結果に対して、新たな観点で解析を行っている。 その方法は、Wavelet PCAと呼ぶべき方法で、 wavelet変換と主成分解析を組み合わせたものである。 現在は、FPUに加えて生体分子の粗視化振動子モデル(elastic network model)に対しても 同様に解析を行っているので、それについても報告する。