第93回:11月8日(土)15:00から
京大工学部1号館
櫛田茉実氏(奈良女子大学)
『大自由度力学系における振動エネルギー移動の解析』
エネルギー移動に関して、古典統計力学の基礎的法則の一つにエネルギー等分配則がある。
この法則が非線形系で成り立っているか、世界で初めてシミュレーションで調べたのが、
Fermi・ Pasta・Uramの三人である。
Fermiらは、非線形振動子のモデル(FPUモデル)を用い、
あるモードに与えた振動エネルギーが、どのように移り変わるかを計算した。
その結果、意外なことにエネルギー等分配則の破れが起こることが見いだされた。
我々は、このよく知られた結果に対して、新たな観点で解析を行っている。
その方法は、Wavelet PCAと呼ぶべき方法で、
wavelet変換と主成分解析を組み合わせたものである。
現在は、FPUに加えて生体分子の粗視化振動子モデル(elastic network model)に対しても
同様に解析を行っているので、それについても報告する。

Last modified: Fri Aug 1 16:51:43 JST 2014