第74回:5月14日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
新山友暁(立命館大学)
『全並進・全角運動量保存のミクロカノニカル集団における統計力学』

全並進運動量および全角運動量が保存するような制約が入った
ミクロカノニカル粒子系での統計平均の計算手法とその結果について紹介する。

ミクロカノニカル集団では、確率分布関数が delta 関数で表現されるため、
平均値などの統計量を計算するための相空間積分が
カノニカル集団と比較して段違いに難しくなる。
これに加えて、全並進・全角運動量保存の条件が存在する孤立系での
統計量の計算の手法について紹介する。
任意の物理量の平均値を計算することは困難であるが、
ある一つの粒子のもつ運動エネルギーの平均値については
積分によって解析的に求めることができ、この結果について報告する。

具体的には、共役運動量に対して適当な直交変換を施すことで、
集団自由度である全並進運動量および全角運動量を
個別運動の自由度から分離する。
この直交変換のもつ性質によって相空間積分が容易になり、
1粒子運動エネルギーの平均値<p_i^2/2>を全運動エネルギーの平均値<K>で
表現することができるようになる。
その結果、1粒子のもつ運動エネルギーは等分配されず
位置および質量依存性をもつ、という結果がみちびかれる。


Last modified: Thu May 12 18:24:22 2011 Last modified: Thu May 12 18:23:36 JST 2011