第64回:12月20日()15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
柳尾朋洋(早稲田大)
『超球モード解析によるナノ秩序構造体の大振幅運動の機構解明』
原子や分子が集合したナノメートルサイズの秩序構造体(クラスターやDNA)
が集団運動によって大きく形を変える現象は,工学的応用の観点からも極めて
興味深く,近年特に注目を集めている.本研究では,この種の集団運動の力学的
機構を解析するための新たな手法として,超球モード解析(Hyperspherical Mode
Analysis)と呼ぶモード解析法を開発した。この手法を用いると,一般のN体系の
(3N−6)個の変形モードは,3つの「回転半径」モード,3つの「ひねり」モード,
(3N−12)個の「ずり」モードの3種類に分類され,モード間の非線形カップリング
やエネルギー移動の詳細な解析が可能となる.本発表では,この超球モード解析を
用いて,ナノ秩序構造体内部のエネルギー移動過程を明らかにし,系が協同的に
全体の構造を変化させる集団運動発生の力学的機構を報告する.さらに,高次元の
集団運動を支配する少数の集団変数を見出し,相空間の低次元化を行い,構造変化
の速度過程を議論する.

参考文献
T. Yanao, W. S. Koon, and J. E. Marsden, J. Chem. Phys. 130, 144111 (2009).

Last modified: Tue Dec 15 11:00:58 2009