第63回:11月14日(土)15:00から
第63回(延期分):1月23日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
河井洋輔(京都大学人環)
『非中性プラズマを用いた2次元乱流緩和過程の実験的検証』
強く磁化された単一荷電粒子の集合体である非中性プラズマは、磁力線に垂直な
平面内での運動が、非粘性・非圧縮性の2次元Euler流体の運動と等価となること
が知られている。発表者の所属する京都大学際本研究室ではこの特性を利用し、
電子のみで構成された純電子プラズマを用いて、基礎的な渦運動から、その結果
到達される準定常状態まで、広い時間スケールに渡る2次元乱流の物理現象を実
験的に検証してきた。

本研究は、波数空間上で記述される乱流理論と実空間上で観測される渦運動とを
統合的に理解することを目的とし、不安定性から出発する乱流の緩和過程につい
て実験的に検討を行った。具体的には、乱流中の渦度構造を高精度で可視的に計
測、Fourier解析とwavelet解析とを組み合わせて解析を行った。

結果、この緩和過程において渦度がより微細なスケールへと輸送されていること
を見出し、定性的には乱流理論によって予測される描像(エンストロフィーカス
ケード)に則って進行していることを確かめた。さらに波数空間上で進行するそ
の現象が、実空間上では渦の合体に伴う渦度構造の微細化に対応していることを
確認することができた。

Last modified: Tue Dec 15 10:55:06 2009