第46回:12月22日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
柳尾朋洋(京大福井センター)
『分子の大振幅集団運動の自己駆動力と粗視化位相空間内のチューブ構造』
一般に、生体分子モーターの運動や化学反応は、分子内の多数の自由度
が協同的に参加することによって実現する大振幅集団運動である。分子
がこのような大振幅運動を実現するためには、分子内の各自由度が勝手
気ままな運動をしていてはならず、一部の「集団的な自由度」が集中的
に活性化する必要がある。そこで、本発表では次の2つの問いについて、
配位空間と位相空間の2つの相補的な観点から探求したい。

(1)分子の大振幅運動を支配する集団的な自由度とは何か?
(2)どのような仕組みによって集団的な自由度が活性化されるのか?

配位空間の観点においては、分子が多次元の非線形振動の中から自発的
に生み出す動的な「力」によって、大振幅運動を駆動する仕組みに焦点
を合わせる。一方、位相空間の観点においては、集団的な自由度の位相
空間内には「チューブ(tube)」と呼ばれる構造が潜んでいて、この構造
が分子の大振幅運動をあたかも決定論的に誘導する仕組みに焦点を合わ
せる。

Last modified: Fri Jan 4 10:44:41 2008