第33回:7月22日(土)15:00から
京大工学部8号館3階南演習室
河井洋輔(京都大学)
『非中性プラズマを用いた実験的研究
〜渦のダイナミクスを中心として〜』
概要;
 京都大学人間・環境学研究科際本研究室で行っている非中性プラズマを用い
た実験的研究について、特に渦のダイナミクスに関する研究を中心として紹介
する。
 単一荷電粒子の集合である非中性プラズマを円筒容器内に軸方向には電場を、
径方向には磁場を用いて閉じこめると、磁気軸に垂直な断面内での運動が2次
元Eular流体と等価になる。このとき密度分布と渦度、自己ポテンシャルと流
れ関数が対応する。このことを用いてこれまで様々な渦の動力学に関する実験
研究が行われてきた[1]。本研究室では初期条件を精密に制御できる技術を用
いて、2次元乱流自由緩和の終状態である渦糸の結晶構造形成過程[2]について
詳細な研究を行っている[3]。その結果、渦糸の結晶化にはその背景を満たす
低密度の渦度分布の存在が不可欠である事が実験的に確かめられ、その寄与に
ついて定量的な解析が行われた。
 また非中性プラズマの特徴として閉じこめ時間が非常に長いことが挙げられ
る。そのため粒子群を熱平衡状態まで持っていく事が可能であり、そのときの
密度分布が持つ波動特性や、外部揺動を加える事による密度分布の構造変化
[4]等、非中性プラズマの3次元熱平衡分布の特性についても研究を行っている。
時間があればそれらの内容についても紹介する予定である。

[1] C. F. Driscoll and K. S. Fine: Phys. Fluids B 2 (1990) 1359.
[2] K. S. Fine, A. C. Cass, W. G. Flynn, and C. F. Driscoll: Phys. Rev. Lett. 75 (1995) 3277.
[3] A. Sanpei, Y. Kiwamoto, K. Ito, and Y. Soga: Phys. Rev. E 68 (2003) 016404.
[4] Y. Soga, Y. Kiwamoto, and N. Hashizume: Phys. Plasmas 13 (2006) 052105.

Last modified: Tue Jul 18 16:28:47 2006