第25回:9月23日(金、祝)10:30から
京大工学部8号館3F南演習室
岡田朗(筑波大学)
『DNA中の電荷移動反応; 長距離になるほど高効率の輸送』
 DNAは遺伝子として重要な分子です。しかしそれだけではなく、
適当に選んだ配列のDNAを合成すると立方体状の二重鎖が構
成できるなど材料としての可能性をも伺わせます。現在、DNA中
の電荷移動反応、エネルギー移動反応を利用して分子素子、
DNAチップ、人工細胞などを作る可能性が活発に模索されてい
ます。

 最近、DNAに化学修飾をほどこすとある場合にはDNA二重鎖が
長いほど電荷輸送効率が高くなるという実験結果が得られました
(A. Okamoto et al. JACS 2003)。これは一次元において輸送距離
が長いほど高効率の輸送が実現するということで直感に反してい
ます。この現象を量子力学的な効果とDisorderの効果により理論
的に説明することができましたのでご紹介したいと思います。

 (余談)Disorderの効果について一言、
例えば、非常に優秀な小学生ばかりのクラスAとちょっと変な子もいる
クラスBに3+3という問題を出したとしましょう。クラスAの平均点は
100点であり、クラスBより良いでしょう。ただし、もし問題の答えが
「3+3はサンタさん」であったとするとクラスAの平均点は優秀さ故に
正確に0でしょう。従ってクラスBはそれを上回る可能性があります。
斯様にDisorderにより輸送効率が増すことを理解することはそれほど
難しいことではありません。しかし、ここではDisorderにより「輸送距離
が長い方が輸送効率が良くなる」ことを説明する必要があり少しばかり
問題は複雑です。

Last modified: Thu Nov 24 15:15:29 2005