第23回:6月18日(土)15時から
京大工学部8号館3F南演習室
上田彰(大阪府立大学)
『一次元格子熱伝導系の非平衡定常分布に対する対称性の効果』
一次元格子力学系の両端に熱浴が取り付けられた系を考えよう。このとき、熱
浴の温度が異なれば、系は熱流を伴う非平衡定常状態に達する。このような1
次元格子熱伝導系の研究の歴史は古いが、従来の研究はフーリエ則(すなわち
熱流が温度勾配に比例すること)がどのような系に対して成立するかについて
調べることが中心であり、非平衡定常状態を表す分布の性質についてはあまり
調べられてこなかった。しかし、非平衡定常分布に対する一般論はまだなく、
その特徴を明らかにすることは非平衡系の統計力学の進展に寄与するであろう。
そこで我々は、非平衡定常分布の局所平衡からのずれを手がかりとして研究を
進めている。

今回は、特に、力学変数の符号反転に対する系の対称性が運動量分布に及ぼす
影響について調べた結果を報告する。平衡系では、オンサイトポテンシャルや
相互作用の対称性に関わりなく、マクスウェル分布が実現するが、非平衡系で
は対称性が運動量分布にも影響する。しかも、対称性が破れたときの振る舞い
には、オンサイトポテンシャルがある系とない系で違いがあるということが見
出された。

この違いは、従来の研究で示唆された系の運動量保存性に基づくフーリエ則の
成立、不成立の違いと類似しており、関連があるものと考えられる。

Last modified: Mon Jun 13 16:42:47 2005