第10回:1月10日(日) 15:00
京大工学部8号館3階南演習室
城本 理恵(立命館大学 理工学研究科 総合理工学専攻)
『エノン写像系における不変集合と複素半古典論』
近可積分系の半古典定常トンネル問題を複素半古典論を用いて
追究するために、(保測)エノン写像をモデルとして、特に
その時間不変集合であるトーラスに着目し、考察した。

複素半古典論には時間領域での理論とエネルギー領域での理論が
あり、それらは相補的な関係にある。
時間領域複素半古典論は首藤・石井・池田によって確立されており、
トンネル波動関数に意味のある初期値集合がある特殊な形状を
した集合になることが示された。
しかし、形式的にトンネルに寄与しうる集合は、時間とともに
指数関数的に増えるので、そこから非物理的集合を除く処理
(Stokes問題)が時間無限大を考える上でやっかいな問題である。

そこで、エネルギー領域の立場から、時間不変集合であるトーラスに
ついて半古典量子化を施す事を行った。
Fourier級数展開を用いて、数値的に複素不変トーラスを構成し、
その構造を調べてみたが、特異点の密集する収束半径が存在して
いたため、解析接続はそこから不可能になった。
級数で表されたトーラスは、狭い収束半径内の情報しか持っておらず、
その情報から構成した半古典波動関数は古典許容領域外部において、
ごく一部しか再現することしかできない。
現在は、エノン写像とその可積分極限との対応から、 Fourier級数で
表した共役関数を Pade近似する事によって得られる領域の拡大と、
時間領域の長時間ステップでの漸近的挙動を調べる事を
試みている。

Last modified: Sun Jan 4 15:38:33 2004