第8回:11月15日(土) 15:00
京大工学部8号館3階南演習室
吉村和之
『FPU格子における変調不安定性と誘導現象』
Fermi-Pasta-Ulam格子は、高次元Hamilton系の代表的なモデルの一つであ
る。その緩和過程について、唯一のフーリエモードを励起した初期条件下
での他のモードとのエネルギー交換過程が、これまで詳しく調べられてき
た。このエネルギー交換過程の初期段階においては、誘導現象と呼ばれる
現象が観測され ることが知られている。[例えば, 岩波講座 現代物理学
の基礎 5統計物理学§10.6] 誘導現象とは、主に初期励起モードのみにエ
ネルギーが集中した振動が持続するある一定期間(誘導期間)の後に、急
激に他のモードとのエネルギー交換が生じる現象である。しかしながら、
これまで誘導期間中のエネルギー交換過程に関して、充分に説明できる解
析的な結果は無かった。本研究では、初期励起モードに対する変調不安定
性を2次の平均化法を用いて解析的に調べ、誘導現象 に関する幾つかの
性質:

1.誘導時間が発散するエネルギー閾値の存在と、
  その系のサイズと初期励起モード波数への依存性, 
2.誘導時間の長さと系のエネルギー値の関係, 
3.誘導期間において、最大成長率を示すモード波数, 

を明らかにした。 
解析的結果と数値実験結果が、極めて良く一致することも示す。 

変調不安定性とDiscrete Breatherと呼ばれる 
局在振動状態の形成の関係についても触れたいと思う。 

なお、本発表内容は、論文[ Kazuyuki Yoshimura, 
'Parametric resonance energy exchange and induction phenomenon in a
one-dimensional nonlinear oscillator chain', 
Phys. Rev. E vol.62 (2000) 6447-6461.]に基づく。

Last modified: Thu Dec 25 18:00:12 2003