第2回:5月21日(水) 15:00
京大工学部8号館3階北演習室
後藤振一郎(京都大学)

Part I: English Talk
『A Symplecticity-Preserving Renormalization Group Method』

We propose a renormalization group method which constructs
a reduced map for a chain of weakly nonlinear symplectic maps
by eliminating non-resonance terms,
and the reduced map describes long-time behavior of the original map.
A virtue of the proposed method is that the reduced map, 
called the renormalization group map, is exactly symplectic,
and hence that the long-time behaior can be observed accurately.
This method gives a discrete nonlinear Schr\"odinger equation
as the renormalization group map for a class of nonlinear maps 
whose generators have 2nd- and 4th-order terms.

Part II: Japanese Talk (日本語)
『Liouville 演算子とシンプレクティック積分法による系統的正準化くりこみ法』

アブストラクト:
ハミルトン力学系の一般的性質を調べる際、しばしば
シンプレクティックマップが用いられてきた。特に相
空間が2次元のマップは一般にカオス系であるという
意味で重要であるとともに、相空間上の軌道が可視で
き、その情報を用いて研究がすすんできた。しかし、
そこで用いられる解析的手法は近可積分系でさえ、未
発達である。それゆえ、我々はシンプレクティックマ
ップ系を解析するための方法論を今まで研究してきた
。その方法論とは弱非線形の微分方程式系で用いられ
る、特異摂動法としての「くりこみ法」
(Ref. [GMN99])をシンプレクティックマップに拡張す
るものであった(:正準化くりこみ法)
(Refs. [GN01],[GNY02])。その成果により、既存の方
法論では到達が困難な有用な結果を与えてたが、その
「シンプレクティックマップへの拡張法」には人為的
な操作が必要であった。

今回の報告では以上を踏まえ、Liouville 演算子とシ
ンプレクティック積分法を用いる事による正準化くり
こみ法を系統的に行えるように再構成する。これによ
り、今までの成果の1つとして知られる
「指数化(exponentiation)法」([Ref. GN01])を再現す
る事をみる。また、微分方程式系では現れず、指数化
法でも対処できない時間離散系特有の共鳴上の相空間
(Ref. [TD03])を簡約するくりこみ系を構成する。今回
の報告は具体例として2次元シンプレクティックマッ
プを取り上げるが、2次元特有の情報を用いないので
高次元系でも同様な議論が可能である。

======参考文献======

[GMN99]Shin-itiro GOTO, Yuji MASUTOMI and Kazuhiro NOZAKI,
      "Lie-Group Approach to Perturbative Renormalization Group Method",
      (邦題:``摂動論的くりこみ群の方法に対するリー群によるアプローチ''),
      Prog. Theor. Phys. vol.102, No.3 (1999), pp. 471 -- 497.

[GN01]Shin-itiro GOTO and Kazuhiro NOZAKI,
      "Regularized Renormalization Group Reduction of Symplectic Maps", 
      (邦題:``正則化されたくりこみ群の手法によるシンプレクティックマップ
	の簡約''), 
      J. Phys. Soc. Jpn. vol. 70. No. 1. (2001), pp. 49--54.

[GN02]Shin-itiro GOTO, Kazuhiro NOZAKI and Hiroyasu YAMADA,
      "Random Wandering around Homoclinic-Like Manifolds in a Symplectic Map 
	Chain",
      (邦題:``シンプレクティックマップチェイン系におけるホモクリニック的多様体
	まわりのランダムワンダリング''),
      Prog. Theor. Phys. vol. 107. No. 4 (2002) pp637--654.

[TD03]Stephan.I. TZENOV and Ronald.C. DAVIDSON,
      ``Renormalization Group Reduction of the Henon Map and Application to the
      Transverse Batatron Motion in Cyclic Accelerators'',
      (邦題:``エノンマップに対するくりこみ簡約と円形加速器における
	横断的ベータトロン運動への応用''),
	(preprint,arXiv:nlin/0302031)

Last modified: Thu Dec 25 17:59:21 2003