ビリヤード写像における不変曲線が存在しないための十分条件 ビリヤード系では, 二次元領域内で直進し境界に達すると入射角と反射角が等 しくなるように向きを変えるような質点(ボール)の運動について取り扱う. こ の系において, ボールが境界と衝突する点とその次に衝突する点を対応付ける 写像を考えると, これは適切な座標の下で面積保存写像となる. 本論文では, Aubry-Mather理論の結果をビリヤード系に適用することで, ビリヤード系の不 変曲線が存在しないための十分条件を与える.