変分法によるポテンシャル系の孤立不変集合のコホモロジーの評価と
平面円制限3体問題の遷移軌道の存在証明

Moeckelは2005年の論文で, Maupertuis汎関数に関する変分法を用いて, エネ
ルギー固定条件下で平面円制限3体問題のLagrange点$L_2$近傍の遷移軌道が存
在するための十分条件を与えている. さらに, 彼は, Eastonの1970年の結果に
よれば, 遷移軌道が存在することは, すなわち, そのエネルギーレベル集合上
の孤立不変集合のコホモロジーの評価を与えていると指摘している. 本研究で
は, まず, Moeckelの結果を, 適当なポテンシャル系について適用することで,
孤立不変集合のコホモロジーの評価を与えた. ここで, Maupertuis汎関数に関
する変分法とは, エネルギー固定条件下の2点境界値問題の解を与える変分法
の一つであるが, この他にLagrange汎関数に関するものが知られている. そこ
で, 本研究では, さらに, 同様の問題について, このLagrange汎関数に関する
変分法を用いることを試み, 別の十分条件を与えることに成功した.