力学系理論を用いた感染症数理モデルの最適制御に関する研究

2019 年末に中国の武漢で発生したと言われている新型コロナウィルス感染症
COVID-19 は世界各地に急速に広がり,全世界で甚大な被害が発生している.
本研究では,このような感染症の流行の有力な数理モデルである SEIR 系を取
りあげ,最適制御による感染症の沈静化に関する数値解析を行い,いくつかの
計算例を与えた.その際,最適制御入力は力学系理論を用いて対応するハミル
トン系の安定多様体により求め,必要な計算は,力学系の分野で広く用いられ
ているコンピュータ・ソフトウェア AUTO により実行した.本研究結果により,
社会や経済への負担を最小限に抑えながら,感染症を沈静化することについて
の知見が得られた.