変分法による非等方ケプラー問題の周期解の存在証明

非等方ケプラー問題は,n型半導体上の自由電子の運動をモデル化したもので
あり,非可積分なハミルトン系であることが知られている.数値計算によって
近似的な周期解が多く発見されているが,厳密な存在証明はなされていないも
のが多い.本論文では,まず非等方ケプラー問題の作用積分について,境界条
件を垂直な2半直線上にとった固定域条件のもとで最小点が存在することを示
す.次に衝突解とテスト曲線の作用積分の比較によって,パラメータμの値の
範囲が1/16<μ<16であるとき最小点が衝突解とならないことを示す.反転対称性
により,得られた最小点は周期軌道になっている.また,テスト曲線の作用積分
を数値計算で直接計算することにより1/16よりさらに小さいパラメータμに対し
ても衝突解が除去できることを示す.

Last modified: Thu Feb 28 11:43:35 JST 2019