大域結合スピンモデルを用いた地磁気反転

地磁気のN極とS極は不規則な時間間隔で反転することが知られている。この現
象を地磁気反転という。地磁気反転を説明するモデルに結合スピンモデルがあ
る。結合スピンモデルは、地球の内部で発生しているいくつかの磁気を相互作
用するスピンで表現したモデルである。本研究は結合スピンモデルの中でも各
スピンが残りのすべてのスピンと相互作用を持ち、エネルギーを保存する大域
結合モデルを用いた先行研究を踏まえたものとなっている。先行研究では観測
と数値計算により得られた地磁気時系列のパワースペクトルを比較しており、
双方において不規則な反転を反映したピンクノイズと呼ばれるべき的なパワー
スペクトルを得ている。しかしながら、観測データは向きのみを表す二値化し
た時系列を用いているのに対し、数値計算では地磁気を連続値としている。そ
こで本研究では数値計算で得られる地磁気の値を、観測データに合わせて二値
化した上で比較した。また、先行研究ではモデルのパラメータ値や初期条件を
1つに固定しているため、これらに対する依存性が明らかではない。そこで、ス
ピン間の結合強度と初期エネルギーへの依存性を調べた。この結果、時系列の
二値化やパラメータ値の変化に依らず、広くピンクノイズが観測されることが
分かった。ただし、べき指数は結合強度や初期条件に依存して変化し、二値化
した方がより強い依存性を持つことが分かった。つまり、モデルによるシミュ
レーションを観測データと比較する際には、二値化は重要な手続きであるとい
える。

Last modified: Thu Feb 28 11:43:35 JST 2019