変分法による2中心問題におけるbrake軌道の存在証明

制限3体問題は,小惑星の運動の解析や惑星探査機の軌道設計に用いられる重要
な問題である.2中心問題は制限3体問題を簡略化したモデルであり,可積分系
の例として知られている.しかし,その第1積分は非常に複雑であるため,全て
の周期解が知られているわけではない.brake軌道とは,ある2つの時刻で速度
が0になるような軌道であり,単純な周期解になる.本論文では,まず2中心問
題の作用積分について,初期位置を2質点の間にとった境界条件のもとで最小点
が存在することを示す.次にその最小点がある範囲の周期のもとでは平衡点に
なっていないことを示し,さらに衝突解とテスト曲線の作用積分との比較によっ
て,最小点が衝突解とも異なることを示す.反転対称性により,このときえら
れる最小点はbrake軌道になっている.

Last modified: Mon Apr 9 12:29:37 JST 2018