パラメトリック励振を受けるDuffing 方程式の非可積分性

カオス現象の発見の初期の代表例として, 周期外力を受けるDuffing方程式があ
げられる. また, これと類似な系のパラメトリック励振を受けるDuffing方程式
に対しても, 数値シミュレーションなどによりカオス挙動が起こることが1980
年代に報告されている. 本研究では, 後者の方程式を取りあげ, 力学系の非可
積分判定の有力な方法であるAyoul-Zungの方法を用いて, その非可積分性を証
明する. Ayoul-Zungの方法は, 微分方程式に対する微分ガロア理論に基づいた
もので, ハミルトン系の非可積分判定法であるMorales-Ramis理論を拡張したも
のである. これまで, 限られた場合に対してはメルニコフの方法によりカオス
挙動が起こることが示されていたが, 本研究の結果により, 系の非可積分性が
示され, 数値シミュレーションなどでカオス挙動が観測されていたことに対す
る数学的な根拠が与えられる.


Last modified: Mon Feb 27 13:53:29 JST 2017