4基の回転翼を搭載した飛行体のダイナミクスについて

微分方程式の解の挙動は, 周期的軌道・準周期的軌道・カオス的軌道などに分
けることができる. 解の軌道を調べるには, 周期的軌道では解の軌道をそのま
ま見ることでわかるが, 周期的軌道でないときはポアンカレ写像を描くことで
調べることができる. ポアンカレ写像とは, 解の軌道をポアンカレ断面と解の
軌道の交点を描いたものであり, ポアンカレ断面の 取り方としては, 軌道を周
期ごとに区切る等して取ることができ, ポアンカレ写像において, 閉曲線軌道
をとるものは準周期的軌道であると分かり, 複雑な振る舞いをするときはカオ
ス 的軌道であるとわかる. また, 微分方程式の挙動として, 平衡点の分岐を考
えることができる. 微分方程式内のあるパラメーターを変化させることで,
微分方程式の平衡点の数が増えたり, 消滅したりする.このことを平衡点の分岐
といい, その力学系の構造安定性を見ることができる

本研究では, まず4基の回転翼を搭載した飛行体, いわゆる, Quadrotor
Helicopterのモデルを考えた. このモデルは, 並進を表す運動方程式と回転を
表す運動方程式で記述すること ができ, 今回は回転を表す運動方程式について,
解の軌道と平衡点の分岐を調べ, 以下の結 果を得た. 一つのローターに周期的
な摂動を与えたとき, 数値計算によりポアンカレ写像を 描くことにより, 初期
値によって準周期的軌道とカオス的軌道がみられることがわかった。 また,モ
デルの微分方程式のパラメーターを変化させると様々な分岐現象が起こると予
想されるが, 一つのパラメーターを変化させたとき, サドルノード分岐が起こ
ることを証明した.
Last modified: Mon Aug 1 10:12:19 JST 2016