2自由度線形系の古典軌道と量子スペクトルの対応

2次元空間中の粒子が調和振動子ポテンシャルと一様磁場と一様電場を受けて
運動している系を古典力学系または量子力学系として定式化する.
調和振動子の角振動数をω,磁場の大きさをB,電場の大きさをEとおく.
この3つのパラメータ(ω,B,E)でラベル付けされる力学系の族を考えて,
各力学系の対称性を調べ,解を求める.なお,対称性を調べるとは,
保存量を求めて古典力学系であれば,保存量がなすポアソン括弧の代数構造
を同定することである.また,力学系を解くとは古典力学系であれば,
任意の初期値問題を解くことを意味し,量子力学であればハミルトニアンの
固有値・固有関数を全て求めることを意味する.特にパラメータ(ω,B,E)
のうち1つまたは2つが0に近づく極限で,古典軌道や量子スペクトルが
特異な振る舞いを示すことがあり,この特異極限を詳しく分析する.