2キュビット系エンタングルメントの尺度の幾何学

量子計算において,量子状態のエンタングルメント (絡み合い) は重要な概念である.
量子テレポーテーションはエンタングル状態が重要な役割を果たす典型例といえる.
エンタングルメントの大小は,局所操作が全体系に波及する度合いの大小に
対応するので,与えられた状態のエンタングルメントの度合いを
何らかの尺度をもって測ることは重要である.
本報告書では,まず P\'{e}ter L\'{e}vay の論文 (2004) に従い,%
2キュビット状態のエンタングルメントについて幾何学的に考察する.
密度行列から決まるフォンノイマンエントロピーを尺度として用いて,%
2キュビット状態のエンタングルメントを特徴付ける.
そして,フォンノイマンエントロピーが $SU(2)$ 作用によって
不変であることに注目し,2キュビット状態全体の空間 $S^7$ および
その $SU(2)$ 軌道空間である $S^4$ との関係を見出す.
その関係から $S^4$ に計量が誘導され,
エンタングルメントの尺度が $S^4$ 上の距離を用いて表される.
続いて,フォンノイマンエントロピーが
$SU(2) \times SU(2)$ 作用によっても不変であることに注目し,%
2キュビット系の $SU(2) \times SU(2)$ 軌道空間を求める.
それは $\mathbb{C}$ 内の閉円板であり,
エンタングルメントの大小が中心からの距離によって表されることを証明する.