3次元の物体を2次元のモニター上に表現するためには、 次の3つの段階を経る必要がある。陰線処理、シェーディング、 シャドウイングの3つである。陰線処理とは、視点からは 見えない物体を描写しないようにする処理である。 また、シェーディングは、光の当たり具合による明暗のグラデーション (陰)をつけることであり、シャドウイングは 物体が光を遮ったとき、光源と反対の側にできる、その物体の黒い形(影) をつける処理である。 本研究では陰線処理のアルゴリズムに重点を 置く。既知の陰線処理のアルゴリズムとしては、 Zソート法、Zバッファ法、スキャンライン法などがあるが、 現在はZバッファ法が主流である。 しかし、Zバッファ法は、3次元の物体を正確に描写できる反面、 描写時間が遅いという短所を持つ。 そこで、本研究では、描写の正確さの欠損をなるべく抑え、かつ描写時間の速い 陰線処理のアルゴリズムの開発を行う。具体的には 3次元モデルの注視すべき部分は描写を正確に、 注意があまり行き届かないであろう部分は粗く描写することで、 描写時間を速く、かつ、正確に見えるよう工夫する。 新しいアルゴリズムで実際にプログラムを作成し、従来の方法と 比較することで、新しいアルゴリズムの有効性を示す。 応用として、新しいアルゴリズムを用いて力学法則に従う運動をシミュレーションし、 アニメーションで表現することで、新しいアルゴリズムの実用性を示す