Colloquium

コーシーの積分定理による均質誘電体に対するリフシッツ公式の再導出

後藤 振一郎 氏

12月20日(金) 13時30分

真空を挟んで無限に大きな誘電体があると、その間に量子電磁場起源の 力が生じることが知られている。その力を求める公式は初めて研究した研究者の 名前を冠し、リフシッツ公式として知られている。 この公式の適用範囲や正しさについての様々な議論がなされている。その一因は 公式の導出が様々な理論の組み合わせのため、 用いられる仮定の妥当性が評価しにくいからである。
今回我々はこの公式の導出を、空間的に一様な媒質で絶対零度の系において、 複素解析で知られるコーシーの積分定理と 電磁場の散乱の透過係数を拠り所にしたシンプルな方法で行えることを示した[1]。 発表ではこれを報告する。

本研究はタカー教授とウォルトン博士との共同研究である。

[1] Shin-itiro GOTO, Robin W. TUCKER and Timothy J. WALTON, ``On the computation of Casimir stresses in open media and Lifshitz theory'' J. Phys. A: Math. Theor. 46, 405301 (32pp) (2013) http://iopscience.iop.org/1751-8121/46/40/405301/