Colloquium

Vlasov方程式における非線形応答理論

小川 駿

11月29日(金) 13時30分

長距離相互作用系のダイナミクスの研究でよく用いられている ハミルトニアン平均場モデルのダイナミクスを記述するVlasov方程式に, 非線形ランダウ減衰[1]の解析で用いられる手法を応用し, 外場をかけた場合の秩序変数の漸近的な振る舞いを求めた. その結果、線形応答理論[2]の適用範囲外の領域の非線形応答を求めることができた.

通常の統計力学で予想される平均場モデルの臨界現象と孤立系の臨界現象が異なることは すでに[3]で線形応答理論を元に感受率の臨界指数を求めることで示したが, ここで得られた非線形応答を用い, 別の物理量の臨界指数を求めることでも 同様のことを示した.

本研究は山口義幸氏との共同研究である.

[1] C. Lancellotti and J. J. Dorning, Trans. Th. Stat. Phys. 38, 1 (2009).
[2] S. Ogawa and Y. Y. Yamaguchi, Phys. Rev. E 85, 061115 (2012).
[3] S. Ogawa, A. Patelli, and Y. Y. Yamaguchi, arXiv:1304.2982.