Colloquium

パーシャルフロート免震構造の紹介

澤井 大基

10月4日(金) 13時30分

近年、被災時の安全性・機能性を確保するために, 免震機構を有した建物が数多く建設されるようになっている. 防災という観点からとらえると, 地震時に建物の安全性が保障されるだけでなく, 内部の設備や資産の確保, 人的災害の発生に対する安全性の確保など, 建物に高度な耐震性能が必要である.  その中で今回, 清水建設より開発された新技術「パーシャルフロート免震構造」を紹介する. パーシャルフロートは, 巨大な貯水槽の中で建物が水に浮かぶように, 水の浮力と建物の下に設置した積層ゴムで建物を支える新しい免震構造システムである. 浮力を利用することにより, 通常の免震構造に比べて30~50%揺れを小さくできるため, 建物自体の損傷だけでなく, 機器・什器の被害も回避できる. また, 地震直後の非常用水源として大量の水を利用できるほか, 常時も中水の水源として多目的に循環利用できるという利点をもつ.  その実用化されつつある「パーシャルフロート」に関して, 構造の原理・振動実験による免震性能・免震性能評価のための数値解析モデルの3項目に絞り, 紹介する.

[1]社本ら:パーシャルフロート免震構造に関する研究(その1)日本建築学会大会(2003)
[2]野津ら:パーシャルフロート免震構造に関する研究(その2)日本建築学会大会(2003)
[3]大山ら:パーシャルフロート免震構造に関する研究(その3)日本建築学会大会(2003)