Colloquium

シュティーフェル多様体上の最適化問題としての行列の同時対角化問題

佐藤 寛之

5月24日(金) 15時00分

互いに可換ないくつかの実対称行列が直交行列によって同時対角化可能であることはよく知られた結果であるが, 可換でない対称行列に対しても,近似的な同時対角化を試みることは独立成分分析などに応用することができ,意義がある. その際の問題は「良い」直交行列を見付けることであるが,その評価基準となる目的関数を定義すると,直交群上の最適化問題を解くことになる. その問題を一般化すれば,シュティーフェル多様体上の最適化問題となる. 本発表では,同時対角化問題の歴史とリーマン多様体上の最適化手法について概説した後, 近年提案されている近似的同時対角化アルゴリズムを紹介し,発表者が考える課題とその展望について述べる.

参考文献:
[1] F. J. Theis, T. P. Cason, and P.-A. Absil, Soft Dimension Reduction for ICA by Joint Diagonalization on the Stiefel Manifold, in Proc. ICA 2009, vol. LNCS 5441, pp. 354-361, Springer, 2009.
[2] G. Hori and J. H. Manton, Critical point analysis of joint diagonalization criteria, in Proc. ICA, 2003.