Colloquium

非均質媒質中でのカシミア効果

後藤振一郎氏(ランカスター大)

12月21日(金) 13時30分

カシミア効果とは、量子場の空間的境界条件に起因するマクロスコピックな力 とそれに付随する物理現象のことを指す。場として電磁場、空間的境界条件と して2枚の完全導体でできた無限に広い平行平板を真空中に配置する場合を考 えると、平行平板間に引力が働くことが理論的、実験的に知られている。身の 回りの媒質は多かれ少なかれ非均質であるにも関わらず、非均質媒質中でのカ シミア効果に関して系統的な理解は得られていない。均質媒質の場合と比べ、 殆ど全ての計算が技術的に困難になるからである。今回は発表は、スカラー場 と電磁場による非均質媒質中のカシミア効果について報告する。系がある対称 性を有する場合にある程度一般的に言えることと、対称性が無い場合は具体的 にカシミア効果を計算できる系の具体例について報告する。