Colloquium

微生物の流体力学:変形と流体中の運動

石本 健太氏 (数理解析研究所・D1)

10月5日(金) 13時30分

流体中の微生物の運動は、生物のサイズが小さいために慣性の効果が無視できる。このとき、生物の変形と流体中の運動の間に流体力学的な制限(帆立貝定理[1])が存在することが知られている。この定理には幾何学的な説明が与えられているが[2]、今回は座標系に立脚した力学的な観点について述べる[3]。さらに、変形のパターンに対する慣性の影響について、変形により流体中を遊泳する球の数理モデル(squirmerモデル)による解析結果を紹介する。時間が許せば、[3]を利用した変形生物の流体中の遊泳運動の数値解析についても触れたい。

参考文献:
[1] Purcell, E. M.; Life at low Reynolds number, Am. J. Phys., 45 (1977) 3-11.
[2] Shapere, A and Wilczek, F; Geometry of self-propulsion at low Reynolds number, J. Fluid Mech., 198 (1989) 557-585.
[3] Ishimoto, K and Yamada, M; A coordinate-based proof of the scallop theorem, SIAM J. Appl. Math. In press.