Colloquium

K3曲面・Enriques曲面の概トーリックLagrangeファイブレーションの明示的構成

多羅間 大輔

5月11日(金) 13時30分

Liouvilleの意味での完全積分可能系の概念はLagrangeファイブレーションへと一般化されるが, その中でもSymingtonが定義した概トーリックLagrangeファイブレーションは比較的扱いやすい. 概トーリックLagrangeファイブレーションを許容する閉じた4次元シンプレクティック多様体は Leung-Symingtonによって分類されている.特に,境界のない底空間上の特異ファイバーをもつ 概トーリックLagrangeファイブレーションを許容するのはK3曲面とEnriques曲面に限ることが 知られている.しかし,このようなファイブレーションの大域的なモデルの明示的な構成はあまりなされていない. 今回の発表では,楕円曲面のWeierstrass標準形を用いたK3曲面やEnriques曲面の概トーリックLagrange ファイブレーションの明示的構成についてお話しする.また,2次曲面交叉の変動を用いたK3曲面の 概トーリックLagrangeファイブレーションの構成についても述べる.

文献
N.C. Leung and M. Symington, Almost toric symplectic four-manifolds, J. Symplectic Geom., 8(2), 143-187, 2010.